発達障害とは

発達障害という言葉をよく耳にするようになりました。歴史的に日本では学童期の子どもの障害として診療と研究が行われてきましたが、近年は大人の発達障害が社会的な問題となってきています。

発達障害を『自閉症スペクトラム障害;ASD』という病名で呼ぶようになり、この診断を受ける人は年々増えているようです。

ADSの学童期までの主な症状には、次のような言動の例があります。

①乳児期、幼児期に著しく人見知りが激しい、または全く人見知りをしなかった。

②保育園や幼稚園で周囲に溶け込まず、友達とのトラブルが多かった。

③集団行動で一人だけ違う行動に走り、先生や親を手こずらせる事が多かった。

④学校で授業中に静かに出来ず、一人で別のことをしたり教室から外に出てしまう。

⑤他人の気持ちが分からなくて、友達との会話で的確な応答が出来ない。

⑥グループのルールや決まりを理解できない、あるいは逆に細部まで細かくこだわる。

⑦行動が極端で、思いつくと我慢が出来ず、周囲に合わせないで独走してしまう。

⑧成績は良いけれど、どこか行動が奇妙でちぐはぐで、平気で自分勝手な言動に走る。

⑨相手の意図するところを理解するのが苦手で、感情や意思の疎通がスムーズにいかない。

⑩他人と自分の距離感が独特で、一方的だったり、拒絶的だったりする。

⑪好きなことには集中して何時間でもやるが、身の回りの片付けは出来ない。

⑫現在または過去にゲームやインターネットの依存症になっていた。

成長後の主な症状には、次のような言動の例があります。

いつも一生懸命やっているのに、なぜか些細なミスが起こり、叱られることが多い。

②仕事の優先順位を自分で決められない。「臨機応変に対応」と言われると何も分からなくなる。

③空気を読むことが苦手で、遠まわしな表現や隠語、言葉の裏の意味がわからない。

④作業手順などは1から10までキチンと教わらないと、精神的にストレスを感じる。

⑤職場での上下関係などに理解が不十分で余計な発言で上司や周囲を怒らしてしまう。

⑥同時に複数のことを処理することが苦手で、すぐにパニック状態になってしまう。

⑦職場等で部下や同僚の人間関係の調整など、他人とかかわることは苦手で避ける傾向がある。

⑧長期的な計画を立ててじっくり進める仕事や、行動よりも忍耐力を要求されるは作業が出来ない。

⑨顧客ごとの個別対応や、対話中心の仕事が苦手で、計画が随時変更していく作業は出来ない。

⑩他人の視点に立って考えることが苦手で、上司等のあいまいな指示内容が全く理解できない。

⑪感情や意思の疎通がスムーズにいかない、本人も努力しているようだが直らない。

発達障害は検査で調べることが出来ます

発達障害の検査には、WAIS,WISC等の知能IQテストが実施されますが、もう少し簡便な検査法もありますので、上記のような症状でお悩みの方は一度クリニックで検査を受けてみられるといいでしょう。

発達障害は脳の機能の部分的な欠落が原因です

それは遺伝的な要素と後天的な要素の両方から起こります。

 

①発達障害の原因は、脳の高次機能がうまく発達できなかった事によって、社会性や学習能力などの片寄りや障害を持つことにあります。

②院長は平成20年から平成23年まで、【子育ての脳科学】を執筆していました。発達障害は長年診ておりますので、お困りの方には実生活での対応方法など、なんでもご相談に乗ります。

③また、お困りのお母さま方が気分が沈んで体調が不良になる姿を見る中で、【更年期障害】の治療にも精通するようになりました。当院では、お子様の【発達障害】と一緒にお母様の心と体調の治療ができます。

④下の図が示すように、人類の脳の高次機能はコミュニティーや社会の知的な資産を共有することを伴って発達・完成しますが、この社会性の発達に片寄りや障害があると、アスペルガー障害や自閉症スペクトラム障害が起こります。

 

⑤社会性の発達で他者とのコミュニケーションが質的に不足する場合、アスペルガー障害を現します。

⑥社会性の発達が量的に不足する場合、自閉症スペクトラムを現し、言語発達の障害を伴うと自閉症を表します。

⑦生得的モジュールであるワーキングメモリーの容量が少ない場合に、注意欠陥障害、あるいはADHDの症状を現します。

⑧また、その他に、特異的な学習障害群として、算数と数学の障害、読字と書字の障害、学力と運動機能の混合性の障害などもあります。

発達障害でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。

  ゲーム依存症も起こりやすい

発達障害を持つ人は、他人と直接のかかわりを持つよりも、ゲーム機やインターネットを通じで文字や言葉だけで交流するほうが得意で、一旦集中すると好成績をえられるので、ゲーム依存症やインターネット中毒症に陥りやすい傾向が見られます。

①ゲームやインターネットは一度深くはまると、自分の力では抜けられない深刻な依存状態に陥ることがあります。

②この場合は、ほとんどアルコール依存症に匹敵する、大変困難な状況と受け止めて家族ぐるみでのサポートが必要です。

③本人に治療意欲を持たせることが何よりも大切で、この意味で周囲との結束と強力、正しい愛情が治療の鍵になります。

④ゲーム依存症は放置しても自然に治らないことが多く、環境調整と適切な薬物治療が待たれるところです。

⑤子どものゲーム依存症は親だけが変われば治るものでもなく、全てが親だけの責任というわけではありません。

このようなでお困りの方は、ぜひ私たちにご相談ください。