感覚・思考・行動が病気のために歪んでしまう
①このように精神が正常でない感覚は、統合失調症でしばしば見られます。
②統合失調症の病初期像は、考えや気持が自分でまとめられなくなりなり、言動が不一致でぎくしゃくして、自分でも会話や生活に困難と苦痛を感じる病気です。
③それに引き続いて、下記のような初期症状が出現してきます。
統合失調症の初期症状の例
①夜眠れない(昼夜逆転の睡眠パターンに変化する事もある)
②強い不安を感じて、部屋に閉じこもるようになる
③考えがまとまらなくなり、会話や口数が少なくなる
④日常生活に無関心で、身なりを構えなくなる
⑤他人に疑い深くなり、急に性格が変化する
⑥イライラしやすくなり、人間関係に問題が起こる
⑦集中力が低下して、成績が急に下がる
⑧奇妙な話し方や奇異な行動をとる
例えば突然に学校へ行かなくなり、部屋に引きこもって、服も着替えず、また歯磨きもしない、顔も洗わないなど、周りの人が見て理解できないような不可解な行動をとるようになったときは、統合失調症の可能性があります。
初期症状の特徴は、考えがまとまらなくなって、強いこだわりと偏ったとらわれが前面に出てくることで、このようなことは誰にでも成長の過程で一度は出ることです。
このような初期症状を見逃さずに、厳しい状態の本格的な発病を迎える前に、適切な対応と治療を行う事が大切だと考えています。
統合失調症の陽性症状と陰性症状
①幻聴や幻覚を伴う陽性症状
陽性症状は統合失調症の一つのタイプで、発症後の急性期には、現実と非現実の境が顕著にぼやけてきて、幻覚や妄想が出現します。思考の一貫性が低下し、 話の内容にまとまりが欠けてきて、現実への適応能力が低下します。例えば、耳元で絶えず誰かが自分の悪口を言っている幻聴があったりして、物事に集中でき なくなり、眠ることさえも困難になります。陽性症状の主なものは、「幻覚・幻聴・幻視・妄想」「思考の障害(洞察力の欠如、支離滅裂な 言語など)」「強いイライラ」「激しい興奮と頑固な不眠」などがあります。これらは統合失調症の陽性期を特徴づける症状で、原因としては、脳内神経伝達物質の一つであるドーパ ミンの機能異常が深く関与していると考えられており、病初期は治療薬に反応が良く、比較的容易にコントロールすることができます。
②社会的な引きこもりが目立つ陰性症状
◎統合失調症の症状のもう一つのタイプに陰性症状があります。個人差はありますが、感情の起伏に乏しく、意欲が低下し、興味も減退します。自発性、感情、 意欲、興味などは、私たちが活動する際には不可欠なもので、これらの機能が低下するのが陰性症状の特徴です。具体的な症状として、感情の鈍麻、興味の喪失、引きこもり、意欲の低下、身だしなみや衛生面にかまわなくなる、食事に無関心、気分の落ち込みなどがあります。
◎この陰性症状は、陽性症状と比べると地味な症状ですが、治療薬への反応が陽性症状より悪く、急性期を過ぎて社会的機能を回復していく上での障壁となります。孤独な環境に陥りやすく、環境的な要因が陰性症状の悪化に関与することがあるので、周囲の理解やサポートが回復の過程で重要なサポートとなります。
統合失調症は発病頻度の高い病気です
①統合失調症は、現在ではおよそ120人に1人がかかる発病頻度の高い病気です。
②発症する年代は、主に10歳代の思春期から青年期の30歳代にかけてが一番多い時期で、ピークは10歳代後半から20歳代にかけて多く発症しています。
③しかし中学生以下や40歳以降の発病も厳密に観察すると決してまれではありません。
④男女の発症の頻度差は大きくありませんが、発症年齢では女性の方が男性よりもやや遅めの傾向です。
⑤進学や就職、独立や結婚など、人生の進路が大きく変化するときに発症のきっかけがみられることが有ります。
統合失調症と自殺
①統合失調症患者の約10%は自殺することが報告されています。
②自殺は統合失調症患者における早死の主な原因で,この疾患の患者の寿命が平均して10年短い理由を一部説明するものとなっています。
③発症が遅く病前の機能が良好な妄想型の患者―回復については最もよい予後を示す患者―は,自殺のリスクが最も大きな患者でもあります。
④これらの患者は悲嘆や苦悩する能力を維持しているため,自分の障害がもたらす影響を現実に認識し,絶望のうちに行動しやすいと思われます。
早期診断と早期の治療介入が大切です
統合失調症では、薬物治療への反応が良い発病前駆期から発病初期に積極的な治療介入を行うことが大変重要だと私たちは考えています。